【タワマン節税】2025年以降の不動産節税戦略

東京の港区(青山・表参道)や渋谷区を中心に、千葉県我孫子市をはじめ全国の経営者様・資産家様の不動産税務・相続対策を手掛ける、税理士法人総和の益本聖三です。
これまでご自身の手で事業を育て、ご家族のために築き上げてきた大切な資産。それを守るために、都心の不動産を活用した節税対策を取り入れた経営者の方は数多くいらっしゃいます。特に、港区や渋谷区のプレミアムな立地に建つタワーマンションは、その節税効果の高さから長年にわたり有効な対策とされてきました。
しかし、2024年のルール改正により、いわゆる「タワマン節税」は大きな転換点を迎えました。それから2年が経過した現在、改正後の評価方法が実務に浸透し、「かつて立てた相続対策のままでは、将来の税負担が大きくなってしまうのではないか?」というご不安の声が、当法人の港区・青山オフィスにも寄せられています。
経営者の皆様は、日々事業の責任と向き合っておられます。その上、税制改正によってご家族の負担が増える事態は避けたいところです。税理士法人総和は、経営者の皆様に寄り添い、会社とご家族を守る「盾」としてサポートします。
この記事では、不動産税務のプロフェッショナルとして、タワマン節税規制の現在の影響と、新ルール下でも有効な不動産節税戦略を分かりやすく解説します。過去の対策に不安を感じている方は、ぜひ次の一手を打つための参考にしてください。
目次
2024年のルール改正で激変!現在のタワマン節税はどうなっている?
タワーマンションの高層階を購入することが、なぜこれほどまでに強力な相続対策になり得たのか。そして、なぜ国税当局はそこにメスを入れたのか。まずは現在のルールを正確に把握することが、すべての対策の出発点となります。
かつてのタワマン節税が封じられた理由と「市場価格と評価額の乖離」
不動産の相続税は、実際の売買価格(市場価格)ではなく、国税庁が定める「路線価」や「固定資産税評価額」を基に計算されます。通常、この評価額は市場価格の7〜8割程度に設定されています。しかし、タワーマンションの場合、このルールに構造的な「歪み」がありました。
タワーマンションは、高層階になればなるほど眺望が良く、市場での取引価格(時価)は上がります。一方で、相続税評価額の計算のベースとなる固定資産税評価額は建物の床面積を基準に計算されるため、低層階でも高層階でも「同じ面積なら評価額はほぼ同じ」という現象が起きていたのです。
その結果、国税庁の有識者会議資料(外部サイト)でも指摘された通り、マンションの評価額と市場価格には平均で2.34倍もの乖離が生じていました。特に高層マンションになるほどその乖離率は高くなり、全体の約65%のマンションで評価額が市場価格の半額以下になっている実態が浮き彫りになりました。
港区や渋谷区の一等地において「市場価格は2億円なのに、相続税評価額はわずか4,000万円(実勢価格の20%)」といった評価の圧縮幅を利用し、現金をタワマンに換えることで相続税を引き下げるスキーム。これこそが「タワマン節税」の正体です。
しかし、この過度な節税に対し、国税庁は公平性を保つために厳しい姿勢を示しました。市場価格との乖離の実態を踏まえた適正化が検討され、ついに2024年、ルールが抜本的に改正されるに至ったのです。
新ルール適用後の相続税評価額シミュレーション(港区・渋谷区の事例)
新ルールでは、マンションの「築年数」「総階数」「所在階」「敷地持分狭小度」という4つの指標を用いた統計的手法(回帰分析)が導入されました。簡単に言えば、「市場価格と評価額が離れすぎているマンションは、市場価格の最低60%まで評価額を引き上げる」というルールです。
では、これが実際の相続においてどれほどの影響をもたらすのか。港区に2億円のタワーマンション高層階を所有しているケースで比較してみましょう。
- 旧ルール(改正前)の場合
市場価格:2億円
相続税評価額:約4,000万円(実勢価格の20%)
圧縮できた財産額:1億6,000万円 - 新ルール(現在・2026年)の場合
市場価格:2億円
相続税評価額:約1億2,000万円(実勢価格の最低60%を適用)
圧縮できた財産額:8,000万円
ご覧の通り、評価額は一気に上がり、節税効果は半減しました。もし、改正前のシミュレーションに基づいて「相続税の心配はない」と安心していた場合、いざ相続が発生した際に多額の納税資金が不足し、大切な不動産を手放さざるを得ない事態にもなりかねません。
評価額上昇の波はタワマン以外にも?2026年現在の表参道・青山エリアの地価動向

ここで注意したいのは、この問題が「タワーマンションを持っている方だけの話ではない」ということです。
2026年現在、当法人がオフィスを構える港区(青山・表参道)や渋谷区をはじめ、都心エリアの地価は再開発や投資需要を背景に、依然として高止まり・上昇傾向にあります。千葉県内のアクセス良好なエリアなどでも同様の傾向が見られます。
不動産税務の現場で見えてくる現実は、毎年の「路線価の上昇」が、実勢価格の上昇に追いつこうとしているという事実です。
10年前に購入したアパートや、長年住み続けているご自宅の土地。タワマンでなくとも、これらの地価が知らず知らずのうちに上がり、かつては「基礎控除(無税の枠)」に収まっていたはずのご家庭が、相続税の課税対象へとスライドするケースが増えています。
経営者の皆様は自社の決算書には常に目を光らせておられると思いますが、個人の資産、特に不動産の「現在の評価額」は、定期的に見直さないと正確には分かりません。評価額が上がっている現在、「何もしないこと」がリスクになりつつあります。
新ルール下でも有効!プロが教える不動産節税3つの戦略
「タワマンがダメなら、もう不動産で節税はできないのか?」と諦める必要はありません。ルールが変わったのであれば、そのルールに則り、合法的に活用できる新たな対策を立てるだけです。税理士法人総和が実際にお客様に提案している「3つの戦略」を紹介します。
戦略1 小規模宅地等の特例を最大限に活用する
タワマン節税の規制後、改めて重要視されているのが「小規模宅地等の特例」です。これは、亡くなった方が自宅や事業として使っていた土地について、一定の要件を満たす親族が相続する場合、土地の評価額を最大80%(330㎡まで)減額できるという制度です。
例えば、港区南青山にある1億円の自宅の土地が、この特例を使えば2,000万円の評価になります。
ただし、この特例は「誰が相続するか」「相続後にどう使うか(住み続けるか等)」「二世帯住宅の構造はどうなっているか」など、適用要件が複雑です。少しでも要件を外れると税務調査で否認される可能性があるため、事前の綿密なプランニングが欠かせません。
戦略2 地積規模の大きな宅地の評価等の減額規定を適用する
土地の評価は、決して「路線価×面積」という単純な掛け算ではありません。これは、著書『土地を相続したら還付請求で税金を取り戻す!』でも詳しく解説している重要なポイントです。
表参道や渋谷区の住宅街、あるいは千葉県の郊外に広い土地をお持ちの場合、「地積規模の大きな宅地の評価」という特例を適用できる可能性があります。これは、広すぎる土地は分割して分譲する必要があり、道路を通すための「潰れ地」が発生するため、その分価値を下げて申告できるというルールです。
また、「形がいびつ(不整形地)」「道路との高低差がある」「私道を含んでいる」といったマイナス要素を現地調査で洗い出し、適正に評価額を下げる。これこそが、国税OBや不動産鑑定士と連携する当法人の得意分野です。
戦略3 不動産管理会社の設立(法人化)と収益物件への組み換え
複数の不動産をお持ちの地主の方や経営者の方にお勧めしたいのが、「不動産管理会社の設立(法人化)」です。
個人の所得税は最大55%にも達しますが、法人税は最大でも30%程度に収まります。不動産から生じる家賃収入を法人に付け替えることで、毎年の手残りのキャッシュを増やす効果が期待できます。さらに、役員報酬という形でご家族に所得を分散させ、将来の「納税資金」を蓄えさせることも可能です。
法人の設立から役員報酬の設定、そして会社設立・創業支援に伴う資金調達まで、トータルでサポートします。
また、評価額が上がりきった資産を、利回りの良い「収益用の一棟アパート」などに組み換える戦略も有効です。貸家建付地としての評価減などが適用され、節税とキャッシュフローの改善を両立しやすくなります。
なぜ不動産相続の対策は税理士に相談すべきなのか?

不動産会社や銀行からも、様々な相続対策の提案を受けることがあると思います。しかし、最終的な判断を下す前に、ぜひ税理士のセカンドオピニオンを受けてください。不動産会社の目的は「物件の売買」に寄りがちですが、当法人の目的は「大切な資産をご家族へ引き継ぎ、税務調査のリスクを抑えること」だからです。
確定申告の時期こそ、将来の相続シミュレーションを行う絶好のタイミング
事業を営む経営者様にとって、決算や確定申告の時期は「過去1年間の数字」をまとめるだけのタイミングではありません。
お手元にある申告書や、不動産所得の減価償却費の推移、ローン残高のデータは、将来の相続税をシミュレーションするための重要な情報源です。
「今のキャッシュフローで、将来の相続税は払えるのか?」
「経費の計上漏れがなく、適正な税務・会計顧問を受けられているか?」
日々の決算や顧問業務の延長線上に、将来の事業承継と相続を見据えることが大切です。相続を見据えた提案にご興味があれば、一度決算書をお見せください。
土地評価と還付の実績を持つプロが味方になる強み
相続税の申告は、担当する税理士のノウハウによって納税額が変わる特殊な分野です。
税理士法人総和は、年間100件以上の相続相談実績を持ち、『土地を相続したら還付請求で税金を取り戻す!』をはじめとする専門書を通じて、適正な土地評価のノウハウを発信しています。
さらに、チームに「国税局OB」が在籍していることも大きな強みです。累計400件超の調査対応実績に基づき、税務署の視点を踏まえたシミュレーションを行います。適正な評価で資産を守り、万が一税務調査が入った際には、国税OBの知見をもってしっかりと対応します。相続税申告・遺産分割のご相談から税務調査の対応まで、安心してお任せください。
「タワマン節税と2025年以降の不動産相続対策」まとめ
- タワマン節税のルールは激変している
2024年の法改正により、評価額が実勢価格の最低60%まで引き上げられ、従来のシミュレーションでは多額の納税資金が不足する恐れがあります。 - タワマン以外の都心の不動産も要注意
港区や渋谷区など地価が上昇しているエリアでは、普通の土地やアパートでも評価額が上がり、知らないうちに相続税の課税対象になっているケースが増加しています。 - プロの知見による合法的な節税策が必須
「小規模宅地等の特例」の厳格な活用、土地のマイナス要素を拾い上げる「減額規定」の適用、「法人化(不動産管理会社の設立)」など、確かな実績を持つ税理士との戦略的なプランニングが不可欠です。
孤独な経営の道のりの中で、誰かに相談したくなった時。大切な家族を守るための対策が必要になった時。税理士法人総和が、確かな知識と経験であなたの味方になります。
「不動産節税・相続」に関するよくある質問
今回のルール改正は「区分所有建物(マンション)」を対象としており、一戸建てやアパート一棟などは直接の対象外です。ただし、路線価自体の見直し等は定期的に行われるため、すべての不動産において定期的な評価額の確認をおすすめします。
はい、対象となります。購入した時期にかかわらず、2024年1月1日以降に相続や贈与によって取得したマンションは、すべて新ルールの評価方法が適用されます。
執筆者紹介

益本 聖三Shozo Masumoto
税理士法人総和 代表社員 / 公認会計士・税理士
大手監査法人を経て2000年に独立。経営者の「想い」に寄り添う伴走型支援と、不動産・相続税務を得意とする。著書に『【激変】2025年税制改正を「最強の武器」に変える!』『土地を相続したら還付請求で税金を取り戻す!』など多数。
